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3ヶ月前までダイビング未経験者だった僕が「ウミガメと泳ぎたい」という夢を叶える一日

Author
  • シロマ ユウノスケ
  • 上出 俊作(水中写真家)

こんにちは。ライターのシロマです。
前回の記事では、3日間の講習を受けて無事にCカードを取得しました。

【3日目. 実習後編】ダイバーへのファーストステップ!Cカード取得講習にチャレンジ!

ついにダイバーとしてのスタートラインに立ったことをみんなに自慢したくてたまりません。

Cカードを取得する際に「ウミガメと一緒に泳ぎたい」と宣言しましたが、ついにその目標にチャレンジする日がやってきました。

水族館でゆったりと泳ぐウミガメに憧れ、インスタグラムを開いてはウミガメの画像や映像を眺めた日々。初めてのファンダイビングと念願のウミガメを見るチャンスである今日という日を、どれだけ待ちわびたことでしょう。

とはいえ、ウミガメと出会えるかは自然が決めること。潜ってみなければウミガメと出会えるかは分かりません。

もちろん出会えるか分からないからこそ、出会えた時の喜びや潜る楽しみがあるというもの。そのワクワクを体感できるだけでも、Cカードを取得してよかったと思えます!

僕の夢は叶うのでしょうか?どうぞご覧ください!

初めてのファンダイビング!やってきたのは、思い出の「チービシ」!

ということでやってきたのは、沖縄本島から20分ほどで着く「チービシ」というポイント。日帰りでのダイビングも可能な距離で初心者にもオススメ。船でぼーっとしているとあっという間に着いちゃいます。

今回潜ることになったチービシは、なんと体験ダイビングやCカード講習で潜ってきた思い出のポイント。実は他のポイントを予定していたのですが海況の都合でこのポイントで潜ることになり、なんだかチービシのウミガメに呼ばれている気がしてなりません!

そして、今回ガイドしてくださったのは、ダイビングショップ「アークダイブ」のアイさん。「絶対にウミガメと出会ってもらいます!」と僕以上に気合が入っていて、明るく頼もしいインストラクターさんです!

そんなアイさんの器材には、小さなウミガメが!那覇空港で出会ったなかなかレアなウミガメだそうです。

今回のお守りなのかもしれないと思うと、少し神々しい気もしてきました。このウミガメに願掛けをして、いざ初めてのファンダイビングへ!

Cカードを取得して初めてのダイビング!ビギナーダイバーデビューの1本目!

今思えば久々にウェットスーツを着る瞬間が、緊張のピークでした。いつもより少しだけ息苦しいスーツの圧迫感が、いよいよファンダイビングデビューなんだという緊張を感じさせます。

今回はレンタル器材を利用させていただいたので、セッティングは主にインストラクターさんがやってくれましたが、計器やレギュレーター、オクトパスの位置や器材の仕組みなどを思い出しながら着用していくとダイブ前の緊張が収まります。

潜る直前にはエントリーの仕方や潜っていくコースなどを、船の上で事前に確認するので安心感がありますね。

今日の潜る流れをレクチャーしてもらい、ワクワクしていた矢先、「実はこのポイントは生き物と比べると地形が魅力の場所となっていて、もちろんウミガメは住んでいるのですが、遭遇率はあまり高くないかもしれません。」という衝撃の事実が!

驚きが隠せない僕でしたが、「でも、一生懸命探すので頑張りましょう!」という頼もしいひとことを信じて、1本目のダイビングに挑みます。

この辺から怖じけずいた僕は「やっぱりウミウシも見たいかなー!」、「ウミウシっていますか?」という発言を連発し、”ウミガメが見れなくてもウミウシ見れたからいいね保険”をかけ始めました。ウミガメに聞かれていないことを願うばかりです。

ボートダイビングではおなじみの、ジャイアントストライドエントリーで入水。事前確認の際に、アイさんと同行してくれた水中カメラマンの上出さんの間で「ジャイアント」と略しながら会話していたのがかっこよかったので、僕も次回以降は「ジャイアント」と言おうと決めました。

その時は緊張していて気づきませんでしたが、周りに魚がいっぱいのポイントでのスタート。

Cカード講習時は、海底まで潜るとスキルのトレーニングが始まるので潜水時がもっとも緊張する時間でしたが、今回はファンダイビングなのでリラックスして始められました。

提供:アークダイブ

気分が高まる僕をまず出迎えてくれたのが、名前のとおり背中に一本線のある「セジロクマノミ」。イソギンチャクから出たり隠れたりするのが可愛い魚でした。

クマノミの中でも少し珍しい種類だそうで、嬉しい気持ちが倍増です。ウミガメに向けて幸先の良いスタート。

白い砂の海底は、波のような模様が綺麗で強く印象に残っています。体験ダイビングやCカード講習のときはあまり余裕がありませんでしたが、今回はリラックスして隅々まで楽しめました。

僕のウミウシ保険を聞いていてくれたアイさんが、ウミウシも発見!その時のレンズでは撮影が難しいほど小さくて写真には残せていませんが、指先くらいの大きさが可愛く、鮮やかな青が綺麗でウミウシを目当てにダイビングを続ける人がいるのも納得です。

岩のクレパスの間をくぐり抜けたり、

サンゴ礁の上を泳いでみたりと、ウミガメを一生懸命探してみましたが1本目のダイビングでは見つからず。2本目のダイビングに望みをかけます。

それでも、充実したファンダイビングデビューとなりました。次はウミガメを探すのみ!

船に上がってから、アイさんにタンクに残った空気の量を伝えると「めっちゃ吸ってますね!」と言われました(笑) 自覚していた以上に緊張していて、呼吸が速くなっていたようです。

この日最後のダイビング!ウミガメと出会う夢は叶うのか。

この日は午後から海況が悪くなることが予想されていたので、全部で2本の日程。つまり、次がこの日最後のダイビングとなり、ウミガメと無事に出会えるか緊張が走ります。

どうしてもウミガメが見たいという僕の願いを叶えようと、1本目の休憩中にインスタラクターさんが総出で辺りを捜索してくれました。シュノーケリングで遠くまで探してくれる熱意に感謝すると同時に、絶対にウミガメと出会って帰らなければと決意。

その捜索では残念ながら見つからず、あとは潜ってからの勝負となりました。

2本目の始まりは、1本目以上にたくさんの魚が出迎えてくれました。これはウミガメとも出会えるんじゃないかと期待が高まります。

今まで潜ったことのないような狭いトンネルに潜っていきます。この先に何がいるのかワクワクしていて、地形の楽しみ方も少しずつ分かってきています。

トンネルの中には、「リュウキュウハタンポ」という暗いところに住む魚がいました。群れになって、すごい勢いで体の横や前を通っていくのが、なかなかの迫力。シルエットのいびつさや大きな目玉が深海魚のようで、ダイビングをしている実感を高めてくれます。

提供:アークダイブ

海中のクリスマスツリーと紹介してもらった「イバラカンザシ」。その紹介の仕方もあってか、このダイビングで出会った生き物の中でも強く印象に残っています。

指先くらいの大きさなのですが、少し離れていてもすぐに分かるくらい鮮やかな色合いで綺麗。人が近づいたり、近くでデコピンするように水を弾くと、岩の中にスッと隠れるの姿も可愛すぎる、魅力たっぷりな生き物でした。

提供:アークダイブ

淡いピンクの色合いがまさに花びらな「ハナビラクマノミ」も発見。ムッとしたような顔つきと淡いピンクのギャップがたまりません。

あっという間に過ぎていく時間。はたしてウミガメと出会えるのか?!

地形の魅力を体感し、たくさんの生き物と出会えた、大満足な2本目前半。

そんな充実した時間はあっという間で、残り時間わずかとなってしまいましたが、まだウミガメとは出会えず。

半ば諦めていた僕がイバラカンザシやウミウシ探しに夢中になっていた中、突然アイさんが岩の上の方を指差します!

「もしかして珍しい生き物がいるのかも!」と、ウミガメを諦めた僕に新しいワクワクが!

なんて思いながら顔を上げると、

そこには念願のウミガメが!!

諦めた矢先に現れた憧れのウミガメでしたが、まさかそこにいるなんて思っていなかったので、すぐには岩と区別がつきませんでした(笑)

あの念願のウミガメが目の前に。感動のあまりレギュレーターをくわえたまま叫んでしまいました。ウミガメの中でも一番好きな「アオウミガメ」と出会えたのもラッキー!

想像した以上に大きくて、堂々した佇まい。急に憧れのウミガメと目が合って、人生初の「カメ見知り」をしてしまいました。

少しずつ近づいてみても素早く逃げられることはなく、初心者ダイバーの僕でもペースが合わせられるくらいゆったりと泳いでくれました。「ごめんね!驚かせないから、一緒に泳がせて!」と心の中で叫んでいた僕の想いが伝わったのかもしれません。

近づいてみると、初めて見た時以上に大きく感じます。もっともっと近づいて泳ぎたかったのですが、まだまだ浮力の調整が苦手なので急に深度を下げる勇気が持てず。これからダイビングの経験を重ねて、自由に泳げるようになるとさらに楽しめそうです。

うまく近づけないタイミングで下から眺めていても、陽の光が射す水面とウミガメの組み合わさり、すごく綺麗な光景となりました。ハワイでは「ウミガメが幸せを運んでくれる」とされているようで、そう思うのも納得な幸福感。

たくさんの生き物と出会えた前半もあっという間でしたが、ウミガメと泳ぐ時間はさらに短く感じるほど、楽しい時間となりました。

最後に、宣言通りウミガメを見つけてくれたアイさんと記念撮影。目当ての生き物を一生懸命探し、楽しいガイドをしてくれる素晴らしいインストラクターさんです。これからもダイビングを続けたくなるようなファンダイビングデビューを実現してくれたことに感謝!

「ロクセンスズメダイ」に囲まれながら安全停止を行い、船へと上がりました。

ひと休みしながら、アイさんや水中カメラマンの上出さんとウミガメに出会えた喜びを話していると、「小さかったけど、出会えてよかったね!」、「臆病で逃げちゃうカメだけど、少しでも会えてよかったね!」という、思わず耳を疑う発言が。

大きくて堂々としていると思っていたウミガメは、子ガメで臆病だったようです(笑) すごく大きかったけどなあ。

先輩ダイバーと休憩中に、生き物の話ができるのもダイビングの醍醐味。これから本数を重ねて、さらに深い魅力を体感していきたいと思いました。

「アオウミガメ」とログ付けできる達成感!

ショップに戻ってからは、この日のダイビングについてログ付けをしました。

深度や時間、海況などの情報やこの日見た生き物を記入していきます。
生き物やダイビングについて、今日起こったことを解説してもらいながら記入していくので、さらにダイビングの楽しみを深められる大事な時間。

そして何より、僕のダイブログに「アオウミガメ」と記入される瞬間でもあります!

しっかりとログ付けしていると、僕が初めてのファンダイビングでウミガメと出会えたことがきちんと記録されているというわけです。思い出をしっかりと残しておくためにも、ログ付けは重要ですね。

まとめ

僕のファンダイビングデビューとウミガメとの出会いはいかがでしたか?

今回の取材のお話をいただいたときは何年も海にすら入っていなかった僕が、シュノーケリングや体験ダイビングにチャレンジ、そしてCカードを取得してウミガメに出会えるなんて想像もしていませんでした。

生まれてからずっと沖縄で暮らしていたのに知らなかった素晴らしい世界と出会い、さらに沖縄の海の魅力を体感した3ヶ月。

少しずつステップアップしながらウミガメと出会うという目標に近づいたからこそ、スムーズに達成できたと感じています。

安全に気をつけながら、美しい沖縄の海に魅了される人が少しでも増えれば良いなと思える体験でした。