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初心者から上級者まで様々な楽しみ方ができる沖縄のダイビングの魅力をエリアごとにオススメします。

Author
  • 上出 俊作(水中写真家)

こんにちは。水中写真家の上出俊作です。
元々は生まれ育った関東でサラリーマンをやっていましたが、沖縄の美しい海の近くで暮らしたいという思いがおさえきれなくなり、5年前に移住を決断しました。
現在は沖縄本島の名護市を拠点に、県内の様々な島を渡り歩きながら水中の生き物や景色を撮影しています。

沖縄は、ダイバーにとって憧れの地です。

海底を埋め尽くす色とりどりの珊瑚。
コバルトブルーの海を泳ぎ回るウミガメ。
イソギンチャクからひょっこり顔を出すクマノミ。

まるで、絵本の中のような、色とりどりの世界が広がっています。そこはまさに、水中の楽園です。

僕も沖縄本島近辺から県内の離島まで様々なエリアで潜りますが、それぞれのエリアには大小さまざまな島があり、それぞれ魅力や特徴、見られる生き物が異なります。

こちらで全ての島を紹介する事はできませんが、特にダイバーから人気があり、ダイビングショップや宿泊施設が比較的揃っている島をピックアップしました。

島ごとの魅力をダイバー目線で紹介していきますので、ぜひ参考にしてみてください。

マンタと出会える島「石垣島」

初心者オススメ度
★★★★(初心者でもマンタを見られるポイントあり)
県外からのアクセス
★★★★(主要都市からの直行便もあり)
感動度
★★★★★

マンタと出会える島。
そう聞いただけで、心躍る人も多いかもしれません。

石垣島では30年以上前に、高確率でマンタと出会えるポイントが見つかり、その神々しい姿を一目見たいという人々が今も日本中から集まって来ます。

景勝地と知られる川平湾の近く、川平石崎というエリアにある「マンタスクランブル」と「マンタシティ」が、マンタを観察できる2大ポイントです。

嬉しいことにどちらも初心者から楽しめるポイントですが、冬場は風の影響で行けない事も多いので、6月から10月頃を狙うのがオススメですね。

実は、石垣島周辺には、川平石崎以外にもマンタと出会えるポイントがたくさんあります。
近年は、西表島と小浜島の間にある「ヨナラ水道」というポイントがとりわけ人気です。

水深が深く潮の流れも速いため上級者向きのポイントと言えますが、真っ白い砂地の上を舞うマンタを一度見てしまうと、やみつきになってしまう人も多いのだとか。

こんな光景を自分の目で見るために、ダイビングの経験を積んでいくのもいいですね。

マングローブやサンゴが魅力の「西表島」

初心者オススメ度
★★★★(浅瀬で楽しめるので安心)
県外からのアクセス
★★(石垣島から高速船かフェリー)
感動度
★★★★★

石垣島から高速船で40分
西表島には、他のどの離島とも似ていない、不思議な景色が広がっています。

島の90%を原生林で覆われ、国内最大のマングローブを有するこの島は、長い時間をかけて独自の生態系を育んできました。

陸にいても水中にいても常に非日常を感じさせてくれるというのが、この島のひとつの魅力と言えるでしょう。

ダイバーの間では「どこの珊瑚が一番綺麗?」なんて話題がたまに出るのですが、そんな時必ず名前が出るのが西表島です。

なかなか順位はつけられませんし、毎年状況は変わるのですが、わざわざ見に行く価値のある珊瑚礁が広がっています。

マングローブやサンゴのポイントは水深も浅いので、初心者の方でも安心して楽しめますね。

西表島は潜れるエリアが広いので、100匹を超えるマグロの群れに巻かれるような、上級者向けの豪快なポイントもありますよ。

ハンマーヘッドシャークに海底遺跡、ロマン溢れる「与那国島」

写真提供:Diving Service MARLIN
初心者オススメ度
★★(ある程度の経験を積んでから行って欲しい!)
県外からのアクセス
★★★(本島か石垣島から飛行機がオススメ)
感動度
★★★★★

与那国島日本最西端ののどかな島で、観光で訪れる人も多くはありませんが、ダイバーにとっては特別な場所です。

与那国島では、冬から春にかけて、ハンマーヘッドシャークを観察することができます。

野生の生き物なので出会えないこともありますが、運が良ければ、数百匹の群れ遭遇することも。

この巨大な群れは、まるで大河のように水中を流れていくので「ハンマーリバー」なんて呼ばれたりもしますね。

ちなみに、ハンマーヘッドシャークはサメと言っても臆病な性格なので、人を襲うことはほぼありません。

水深が深く流れも速い事が多いので、それなりの経験が必要となります。

写真提供:國清健次さん

ここ与那国島のもう一つの目玉といえば「海底遺跡」です。こちらのポイントは、初心者の方から楽しむことができます。

複雑に重なり合った無数の巨岩が、「階段」や「通路」、「テラス」などを海底に形成しています。

人の手が加わった遺跡なのか、あるいは自然の造形なのかは定かではありませんが、水中に広がる豪快かつ神秘的な地形に圧倒されること間違いなしです。

水中洞窟に刺す光のシャワーが魅力の「宮古島」

初心者オススメ度
★★★(初心者でもいけるスポットあり)
県外からのアクセス
★★★★(主要都市からの直行便もあり)
感動度
★★★★★

ここ最近、観光でも大人気の宮古島は「地形好きなダイバー」が日本中から集まってくる島でもあるのをご存知でしたか?

宮古島と橋でつながっている伊良部島・下地島周辺の海中には、複雑な形状の洞窟やクレバス(深い割れ目)、アーチが無数に点在しています。

アントニオガウディ」や「魔王の宮殿」など、荘厳なポイント名に一瞬ひるんでしまいますが、そこには名前を裏切らない感動があるはずです。

水中洞窟の天井には、所々穴があいていて、そこから差し込む光の筋に目を奪われることも多いでしょう。

光のシャワー」や「レーザービーム」なんて呼ばれる洞窟に射す光を求めて、宮古島に通うダイバーも多いんだとか。

初心者の方から楽しめる地形ポイントもたくさんありますが、人気のあるポイントは比較的水深が深い傾向があるので、多少の経験があった方が楽しみの幅は広がりますね。

アクセス抜群、様々な生き物を見れる「沖縄本島」

初心者オススメ度
★★★★★(初心者でもいけるスポット多数あり)
県外からのアクセス
★★★★★
感動度
★★★★

アクセスの良さバリエーションの豊富さが、沖縄本島の魅力と言えるでしょう。

南北に伸びる沖縄本島周辺には数え切れないほどのダイビングスポットがあり、初心者向けののんびりポイントはもちろん、上級者でも楽しめる豪快なポイントもあります。

観光スポットもたくさんあるので、ダイビング以外の遊びと合わせて楽しめるのも魅力ですね。

沖縄本島に滞在しつつ、ダイビングボートで離島にデイトリップするという選択肢もあります。

那覇近郊に滞在して慶良間諸島や粟国島・渡名喜島を日帰りで潜ったり、沖縄本島北部に滞在して水納島・瀬底島周辺を半日で潜ったり、楽しみ方もたくさんです。

何度訪れても全く違った経験ができるのは嬉しいですね。

国立公園にも指定、日帰りでも行けるケラマブルー「慶良間諸島」

初心者オススメ度
★★★★(初心者でもいけるスポットあり)
県外からのアクセス
★★★(本島から高速船かフェリー)
感動度
★★★★★

那覇から西へ約40km。
そこで待っているのは、大小20あまりの島々からなる日本最大の国立公園、慶良間諸島です。

ケラマブルー」と称される海は、沖縄県内でも屈指の透視度を誇り、世界中からこの海を求めてダイバーや観光の方が集まってきます。

「南の楽園」のイメージが、そのまま詰まった海と言ってもいいかもしれません。

慶良間諸島は「ウミガメと泳ぎたい!」という夢を叶えてくれる海でもあります。

アオウミガメ、タイマイ、アカウミガメの3種が主に沖縄で見ることのできるウミガメですが、慶良間諸島にはこの3種全てが暮らしているのです。

比較的浅く穏やかなポイントでウミガメと出会える可能性が高いので、初心者の方にもオススメですね。

慶良間諸島にはダイビングポイントが無数にあるので、初心者でも上級者でも、飽きることなく楽しめます。

お腹な黒いブラックマンタと出会えることもある「久米島」

写真提供:工藤方照さん
初心者オススメ度
★★★★★(初心者でもいけるスポット多数あり)
県外からのアクセス
★★★(本島から飛行機かフェリー、夏には羽田から飛行機もあります)
感動度
★★★★

豪快な地形・大物ポイントから、のんびりフィッシュウォッチングを楽しめる砂地ポイントまで、なんでも揃っているのが久米島の魅力のひとつです。

港からダイビングポイントまでが近いので、船に乗っている時間も短く、船酔いしやすい方にも優しい島と言えるでしょう。

観光で訪れる方がそれほど多くないので、離島の空気を感じながらのんびり過ごすことができます。

ダイビングを始めたばかりの方にもおすすめの島です。

写真提供:工藤方照さん

これまで、沖縄でマンタと言えば石垣島をはじめとする八重山諸島が有名でしたが、数年前に久米島でもマンタと出会えるポイントが見つかりました。

通常マンタのお腹は真っ白ですが、なんと久米島では、お腹の黒いブラックマンタとの遭遇例も多数報告されています。

まだ知名度がそれほど高くない今が狙い目かもしれません。

ギンガメアジの大群が圧巻の「粟国島」

初心者オススメ度
(ベテランになってから行って欲しい!)
県外からのアクセス
★★★(本島からフェリー)
感動度
★★★★★

那覇からフェリーで2時間ほど北西に進むと、外洋にポツンと佇む離島があります。

民宿や飲食店が数件ある程度の、沖縄の原風景を残した小さな島です。

粟国島に観光で訪れる方は多くありませんが、春から初夏にかけて、多くのダイバーが「群れ」を求めて集まってきます。

4月から7月頃にかけて、粟国島の「筆ん崎(ふでんざき)」というポイントにギンガメアジの大群が集まってきます。

この規模の群れを観察できるポイントはとても珍しいので、沖縄だけでなく、世界的に見ても貴重なポイントです。

ギンガメアジ以外にも、イソマグロロウニンアジバラクーダジンベイザメなど、大型の回遊魚たちと遭遇できる可能性もあります。

強い流れに逆らって泳ぐことも多いので、上級者向けのポイントです。

エリアや熟練度によって様々な楽しみ方ができる沖縄ダイビング!

沖縄本島や宮古島、石垣島という有名な島以外にも、県内には個性的な離島がたくさんあり、それぞれ異なったダイビングの魅力があるということを感じていただけましたでしょうか?

沖縄の島々は、国内の他のダイビングエリアと比べて水温も透視度も高く、浅瀬の穏やかなポイントも多いので、初心者の方でもストレスなくダイビングを楽しめます。

その一方で、回遊魚の群れを追って外洋を泳いだり、一筋の光を求めて暗い洞窟を進んでいったり、というような、アドベンチャー感溢れる上級者向けのダイビングができるのも沖縄の魅力のひとつです。

潜るエリアによってもダイバーの熟練度によっても、楽しみ方はまさに無限大ですね。

ここまで読んでくださった皆様にも、色々なエリアで潜りながら少しずつ経験を積んでいっていただき、自分の好きなダイビングスタイルや、いつか行きたい憧れのポイントを見つけてもらえたらなと思います。

経験を積めば積むほど「大物」には興味がなくなり、数㎜の「ウミウシ」を探すことに熱中するダイバーも珍しくありませんので、楽しみ方は本当に自由ですよ!