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ガイド・ダイビング事故の法的責任

 ダイビング事故は判例も少なく、裁判になった場合も和解して表に出てこないケースも少なくない。
交通事故のように判例が集積すれば、法的な責任の基準も明確に定まってくるであろうが、ダイビ
ング事故の場合、紛争解決の基準がわかりにくい。
ひと言でダイビング事故といっても多岐にわたるが、本書では、沖縄県のダイビング事業者の業態
と、最も早急な対応が必要と思われる“ ファンダイビングのガイド” という職業についての法的責任の解説と判例を分析し、ガイドの行動指針を定立するための材料となることを目指した。

ファンダイビングの事故でしばしば争点となる、ガイドの“ 注意義務” だが、業界内でのコンセンサス、ガイドとダイバー※1の間の合意形成が不十分であり、明確化が求められている。本来、ダイビング業界やガイドを代表する組織が内容を吟味するべきだが、ダイビング産業の構造問題から十分な議論がなされていないのが現状だ。
かつて冒険であったスキューバダイビングは商業化が進み、誰でも手軽にできるレジャーとして認識されるようにもなり、安全に対する国民の期待と要求は年々高まっている。
そうした背景の中、事故が起きれば、法的な紛争が生じやすい。 本書は、主にガイドに関する法的責任を明確にし、その立場で具体的なダイビング事故を分析することにより、ガイドのガイドライン作成の一助となることを目的としている。今後、ガイドラインが作成されれば、紛争を未然に防ぐことができ、ひ
いては、事故を未然に防ぐことにもなるはずだ。
ただし、ガイドラインについての正当性については、最終的には民主制を通じて国民の審判に委ねられるものであり、時代と社会が変われば法律の解釈も変わるであろう。
また、本テーマにおけるガイドラインは、その性質上、ダイビング業界や事業者が、より実情に合わせて検討し、しかるべき手続きをもって定立し、定期的にチェックすることが肝要である。
競技スポーツと異なり、ファンダイビングには一義的なルールがないため、法的な判断が難しい。
本書が、ガイドの行動指針となり、ガイドラインの定立に寄与できれば幸いである。

ガイドダイバーが知っておくべき
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